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携帯通話料、価格破壊の波


 携帯電話関連の通話料に価格破壊の波が押し寄せつつある。通信ベンチャーの平成電電(東京)とNTTドコモの、料金設定権をめぐる論争は総務省裁定で平成電電側に軍配が上がり、かつてに比べ低下したとはいえ依然高い、一般家庭の固定電話から携帯向け通話料に風穴が開くからだ。その上、インターネット技術を活用した格安通話料のIP電話の携帯版サービスが近く始まると、料金引き下げ競争に拍車が掛かるのは必至だ。

 固定から携帯への通話料は現在、3分80円から120円。固定から携帯への通話に必要な設備の大半を担う携帯電話会社が料金を決めてきた。平成電電は自社の固定電話顧客からドコモへの通話料を同60円とするサービスを計画したが、ドコモが料金設定権を主張し協議が決裂。総務省はこれに対し「顧客を獲得した側が料金を決めるべきだ」と、設定権を平成電電に認める裁定を下した。

 ドコモは「平成電電が格安サービスを開始すれば年間10億円近い減収。他の固定電話会社も同様に値下げすると、影響は1,000億円超になる」と反発する。

 国定電話からドコモの携帯向け通話料3分80円のうち、現在は75円を携帯側が、5円を固定側が受け取る仕組みだが、裁定に従えば携帯側収入は接続料だけの40円に激減する。

 固定発携帯向け通話料を同120円と割高に設定しているKDDIとJ−フォンは、料金設定権が固定側に移ると年間数百億円規模の減収を余儀なくされる。巨額の負債を抱える新電電にとって、影響はドコモ以上に大きいとみられる。

 新電電関係者は「当初は携帯側に設定権を残す考えだった総務省が、180度方針変更した過程が不透明」と不信感を募らせる。

 「固定電話の音声収入は5年後に一兆円強減少する」(和田紀夫NTT社長)、「2005年には半数近くがIP電話に移行する」(小野寺正KDDI社長)。通信会社トップからは固定電話のIP化が通信業界にもたらす激震を見据えた発言が相次いでいる。

 こうした中、携帯版IP電話の実現に向けた実験も既に始まっている。

 NTT東日本子会社のNTTエムイー(NTT−ME)が携帯情報端末(PDA)を使ったIP電話の実験を大手私鉄と進めているほか、通信ベンチャーの鷹山(ようざん、東京)は、来年10月以降の事業化を目指している。無料通話や定額料金導入は一段の通話料下げ圧力となる。

 「新たなインフラ投資が必要で、IP携帯電話が将来主流になるとは到底思えない」との見方も業界にはある。だが、誰も事前に予想できないほど速く大きな変化を、情報技術(IT)革新が通信業界にもたらしてきたのも事実だ。通信会社は経営戦略の抜本的な見直しを迫られそうだ。